大人の女性に似合うロマンティックブラウス
【Prologue】
大人の女性に似合う ロマンティックブラウスをテーマに作りました。
一年を通して特に特に春の陽気と共に芽生える、少し甘めのブラウスを着たいという衝動。
いくつになっても変わらないこの気持ち…でも似合うものは年を重ねる毎に変わってきて 甘めアイテムの着こなしは年々難しくなってきているのを感じます。
これからの年齢で流行や季節に関係なく着れて 長く愛用できるもの、40代からの女性に似合うロマンティックブラウスを考えた時に、意外と他にはないので作ってみたのがこちらのブラウスです。
【デザインについて】
年齢を重ねると おさまりすぎたデザインやコンサバなものって、途端に年齢をかさ増ししてくれるので、敢えてカジュアルダウンしたり 少し外しのテクニックが必要になってくるのかな、と感じています。
こちらのブラウスでは袖に細かいタック&ギャザーを入れ、極端なボリュームを持たせることでお洋服にフォルム感を生み出すと同時に、ロマンティックムードを加えつつ、定番からは少し外した雰囲気に仕上げています。
肩線が落ちたドロップショルダーから膨らむ袖のデザインは、肩まわりがふわっと膨らみを帯びていても、少女らしさやお姫様感ではなくリラックスした大人の優美さが感じられます。
また長めのカフスやくるみボタンなど クラシックのエッセンスを加えているのは、普遍的で流行に捉われないことと、手首を華奢に見せてくれること、それに着方のアレンジがしやすいから。ロングカフスは袖スリットの内側にしまうとバルーンスリーブの形状になり軽快でよりカジュアルに変化します。
キュッと詰まったコンパクトな衿元とシンプルな前身頃のデザインによりロマンティックが削ぎ落とされ、フロント側は一見フォルム感のあるミニマルなブラウスにも見えます。
衿元は上品さを引き立たせるために、ステッチの入らない手作業の工程で丁寧に仕上げています。
そして背中には鳥の羽をイメージしたラッフルがはためき、たちまちロマンティックムードが加わりました。後ろ衿元に細く深いスリットを入れ、中央にあきを作ることで、ボリュームのあるシルエットの中に軽さと抜け感、さっぱりとした女性らしさを生み出します。
着こなし次第では前後のデザインを逆に着て、全く異なる雰囲気で楽しむこともできます。
ラッフル側を前にすると、ぱっと華やかさがアップするので気分次第で使い分けもできる2wayデザインです。
ただしパターン設計上では前と後の身体の差に合わせて作っているのできっちり身体にフィットして着たい方は、基本の着方がおすすめです。
【シルエットについて】
LiTAのこだわりとして、四方どこから見ても美しい『四方正面』の考え方を心にとめ服のフォルムにこだわりを持って作っています。こちらのブラウスも前、横、後と、どこから見ても造形美になるシルエットにこだわり作りました。
そして、年齢を重ねると共に出てくるお悩み、全体的に少し丸みを帯びてきたりウエストラインやヒップラインが気になってきたり、そういうお悩みに寄り添えるものを作りたいと常日頃から考えています。
こちらのブラウスでは、ゆったりした着心地はありつつも着膨れすることのない、量感と間に気を配って設計しています。身体の膨らみがある部分にはギャザーやタックの様な膨らむディティールは使わず、シェイプしている部分にはそれをより強調させられるディティールを用い、ゆったりとした着心地でもメリハリを作れるシルエットにしました。
そして、手首、首筋、背中など、女性らしいと感じるパーツは際立たせたり、あえて肌を見せることによりリラックスしたシルエットの中に、女性らしい品や優美さの様なものを付与することができます。カフスを長く取ることで手首の細さを引き立たせ、後ろ衿元から背中にかけて細く深いあきを作ると、量感の中に空間ができることで軽さや抜け感生まれ、大人の余裕を感じさせます。
ブラウスの着丈は後ろの方が少し長めで ヒップラインが隠れる丈で設定しています。こちらのブラウスを着ると必然的に身体の上半身にボリュームが来るので 合わせるボトムはパンツか、スカートであればあまり広がらないシルエットの方が相性が良いと思います。
そうなってくるとやはりヒップラインが隠れる方が嬉しい、と思い長めの設定に。ただ、ボトムのシルエット次第ではトップスが重たくなる可能性もあるので、ウエスト部分に紐をつけウエストをブラウジングできる様にしています。ウエスト紐でシルエットアレンジすることでボリュームがあるシルエットが大きすぎてしまう小柄な方でもバランスがとりやすい仕様です。色んな着こなしや体型の方を想定して、想いを巡らせながら設計いたしました。
【素材について】
80番手クラスの細番手で 毛羽などを取り除き 表面をきれいに整えた 上質の綿糸で織り上げたコットン100%の薄手のローンです。ナチュラルワッシャー加工により洗いのかかった自然な風合いに仕上げいます。ほどよい透け感と滑らかな肌ざわりの素材です。適度にハリがあるので肌離もよく、身体のラインを拾わないシルエットを作りだします。季節を問わず沢山着てほしいブラウスなのでデイリーで使うのに躊躇しない扱いやすい素材を選定しました。透け感もそんなに強くないので、真冬は寒いかもしれませんがコーディネート次第で1年を通して着ることができます。またワッシャー加工で表面に洗いたての様な自然なしぼ感のある素材なのでアイロンで綺麗にプレスしなくてもいい、ナチュラルな表情が魅力の素材になります。
【ものづくりについて】
LiTAの誇れる部分で語りたい部分、それは縫製の丁寧さです。デザインや色や素材は人それぞれの好みがあり価値観が様々ですが、縫製の丁寧さ、綺麗さというものは普遍的要素だと思います。
LiTAに携わって頂いている職人さんはパターン、縫製ともに何十年一つの道を歩んでこられた先輩方。高い技術を持って尚、情熱を持ち日々技術を磨いておられます。
そして一つ特徴なのが、LiTAのものづくりに携わっている職人さんは皆さまパタンナーでもあり、縫製職人でもあるということ。縫製のことを熟知しているからこそ、できるパターンがあり生まれる着心地がある。
そして一枚の服を裁断から仕上げまで、全てお一人で縫い上げていきます。精神論になりますが、一着一着丹精込めて、同時に責任を持って縫って頂くということですから、やはり仕上がりが素晴らしいのです。
大量生産には大量生産の、海外生産には海外生産の、そこそこでのメリットがあると思いますが、LiTAの小さいものづくりは小さいからこそできる事を優先でやっています。面倒な仕様だったり、手作業があっても仕上がりが綺麗という事であれば手間を厭いません。
Made in Japan だけではなく、 Made by 〇〇さん と職人さんの名前を出して、どういうお人がどういう気持ちでその服を作っているのか、というところにも焦点を当てて今後皆さまにご紹介していけたらと思います。