自然と調和するドレスワンピース- P r o d u c t

自然と調和するドレスワンピースをお話する上で欠かせないのが このドレスの色付け、染色について。

自然や植物が好きな私は、家族で森へキャンプに行ったり 自宅キッチンで草木染めをしたり、そんなライフスタイルの中で 自然のものを身近に置くことで リラックスしたり心が整うことを実感しています。

この自然界のパワーを服に注ぎ込みたいと、今回ラベンダーやクローブといったハーブから抽出した天然の染料を用いました。色付けや発色の部分は化学染料の力をかりて、そこに天然の染料を併用することで 色に奥行きや深みが生まれ 雰囲気の良い発色になるのです。

天然の染料には数百もの色素が入り実際に私たちの目には色とは感知できない色素が多数存在しています。均一な大きさの色素を持つ化学染料を比較すると天然の染料は 大小形が違う色素が混在し、それぞれが光を反射することで乱反射が起こり ゆらぎの光により色に奥行きが感じられたり 心をリラックスさせてくれる要素があると考えられています。

化学染料で得られる豊かな色彩表現に この天然染料の色の奥行きや深みある発色という要素を加えることで、自然界から得られる安らぎや癒しを付与できるのではないかと考え、

天然染料と化学染料のハイブリット染色という染色法にチャレンジしました。

 

このドレスワンピースの染色を担ってくれたのが、岡山県児島にある浦上染料店さん。浦上染料店さんは化学染料染めも、天然染めも、ハイブリット染めもありとあらゆる染色を行われている国内屈指の染色工場さんです。

自然と調和するドレスワンピースの染色は浦上染料店さんによるハイブリット染色法で染めています。この染色法は浦上染料店さんの長年の経験と日の研究、技術やアイデアが詰まったものなのです。

まず生地の下処理生地に付いている糊や付着物を落とす作業、酸性で酵素の力を使い 生地の風合いが損なわれず柔らかさを保つことができます。さらに排水の成分が環境に優しく 使用する水量も最小限で済むという生地にも環境にも負荷をかけない浦上染料店さんオリジナルの、ポシブルウォッシュという下処理法です。

その後の染色工程では化学染料と天然染料に加え媒染剤に石灰を使いながら 工程を分けることなく、一気に一浴染で染めていきます。通常であれば 幾つか踏まないといけない工程をオリジナルの染色技術により 一括することが出来、エネルギーと水の使用量を削減しつつ 天然染料特有の良さを生地に付与していきます。

そしてその天然染料の良さ、特有のニュアンスある発色を日光による退色から少しでも遅らせるためにUVカット剤を生地表面に処理するという仕上げを施しています。この加工により、耐光堅牢度を向上させることができます。

(耐光堅牢度:光による退色に対する耐性を表す度合いのこと。 繊維製品を日光などの光による退色に対してどれだけの耐性をもっているかを等級で表したもの。)

ハイブリット染色法は化学染料単一で染めたものとは違う 奥行きや深みのある 雰囲気の良い発色や色表現が叶い、さらに全工程を通して使用する水量と エネルギーの削減、各工程で出る排水も環境にやさしいものになるので排水処理の為に余分な水や薬品を使う必要がなく合理的でいて 環境にも人にもやさしいものづくりになっているのです。

 

今回天然染料の原料としてラベンダーやクローブなどのハーブを使い、ラベンダーは乾燥状のイングリッシュラベンダーから染料液を抽出したのですが、抽出時にはあのフローラルな柔らかい香りが工場内に漂ったそうで、浦上染料店さんより後日 「とても良い香りが工場内に充満して癒されました」というお話をいただきました。「この香りごと届けられたらいいのに」とも。

この何とも和やかな気持ちと共に染められた色を、見た目にも環境にも 優しいモノづくりのことを 多くの方に知ってほしい、そして 生産者さんのことやものづくりの裏側を知ることで洋服に対する愛着が少しでも増してくれたら、という想いがあります。

 

洋服は人の手を幾つもの手を介して生まれます。そこにある温度を私はいつも感じていて、その温度を出来るだけそのまま 服を纏う方にも感じて頂ける様に伝えていきたいと思い 今回ここに綴りました。

 

どこかの誰かの興味の扉を開くきっかけになれば嬉しいです。

 

 

2021.05.21   chisato

 

 

画像:浦上染料店さんHPより転載